
宿泊施設の経営において、新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストの5倍とも言われています。そのため、リピーター獲得を目的としたホテル会員プログラムの導入は、収益性を高める重要な経営戦略となっています。OTA依存軽減と顧客囲い込みを同時に実現するロイヤリティプログラムは、顧客満足度向上とブランドロイヤリティの構築に欠かせない仕組みです。
本記事では、ホテル・旅館におけるロイヤリティプログラムの活用法を、具体的な設計方法から運用のポイントまで詳しく解説します。
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ロイヤリティプログラムは、ホテル経営におけるリピート率と収益性を高める重要な仕組みです。本章では、定義から導入事例、顧客行動や収益への影響まで、実践的な活用方法を体系的に解説します。
ロイヤリティプログラムとは、顧客との継続的な関係を構築し、リピート率を高めるための会員制度を指します。ホテル業界では、ポイント制度や会員ランク制度を通じて、宿泊実績に応じた特典を提供する仕組みが一般的です。このプログラムは単なる割引施策ではなく、顧客データ分析に基づくパーソナライズサービスの提供や、ダイレクトブッキングの促進といった、複合的な価値を生み出します。
ホテル経営における主要なメリットは、OTA経由の予約手数料を削減しながら公式サイト予約を増やせる点です。OTAの手数料は国内で8~12%、海外では15~20%にも達します。自社予約比率を高めれば、収益性を大きく改善できます。さらに、会員プログラムを通じて収集した顧客情報は、効果的なプロモーション展開やサービス改善に活用できる重要な経営資産となります。
実際のホテル運営では、会員向けの宿泊割引やルームアップグレード、無料宿泊特典などの特典内容により、顧客の再来訪を促進できます。J.D. パワーの「2024年ホテル会員プログラム顧客満足度調査」によると、ホテル会員プログラムでポイント交換を経験した顧客の満足度は、未経験者と比べて100ポイント以上高く、継続利用意向は67%に達することが報告されています(未経験者は38%)この数値は、会員になるだけでなく、実際に特典を利用させることが顧客リピート率の向上に確実に寄与することを示しています。
大規模チェーンホテルでは、複数施設で利用できる統一された会員制度を運営しています。たとえばリッチモンドホテルズでは、tripla Bookとtripla Connectを活用し、43施設およびTHE BASEMENT1施設の計44施設で「リッチモンドクラブ」という会員組織を展開しています。多言語対応やキャンペーン管理機能を活用することで、訪日外国人旅行者の増加にも柔軟に対応できる体制を整えています。
リゾート型施設でも、ロイヤリティプログラムは効果的に機能しています。シギラセブンマイルズリゾートでは、8つのホテルと30店舗以上のレストランを展開する大規模施設において、tripla社の複数サービスを統合的に導入しました。2026年度の自社予約比率30%以上を目標とし、CRM(顧客情報管理システム)を活用した顧客満足度向上とリピート率の向上を推進しています。
ロイヤリティプログラムは、顧客の購買行動に明確な影響を与えます。会員登録を行った顧客は、非会員と比較して予約完了率が高く、平均宿泊単価も向上する傾向があります。弊社のデータによると、約50%の新規宿泊者がホテル会員に登録しており、その中でも多くの方がソーシャルログイン機能を活用しています。この高い登録率は、会員制度が顧客にとって魅力的に映っていることの表れです。
収益面では、会員の年間宿泊回数と生涯価値(LTV)の向上が重要な指標となります。会員ランクが上がるほど宿泊頻度が増え、1回あたりの消費金額も増加する傾向が見られます。また、会員からの直接予約が増えることで、OTA手数料の削減による利益率の改善も期待できます。観光庁の統計によると、2024年の延べ宿泊者数は6億5,906万人泊で前年比6.7%増となっており、この成長市場において会員組織を拡大することは長期的な収益基盤の強化につながります。
ホテルのロイヤリティプログラムは、顧客の継続的な利用を促進するための重要な戦略です。本章では、効果的なポイント設計や会員ランク制度、CRMとの連携方法など、実際に役立つ運用手法を具体的に解説します。
ポイント制度の設計では、宿泊料金に対する付与率と、ポイント利用時の価値換算率を適切に設定することが重要です。一般的には宿泊料金の1~5%程度をポイントとして付与し、1ポイント=1円相当で次回の宿泊料金に充当できる仕組みが分かりやすく受け入れられています。還元率が高すぎると収益を圧迫し、低すぎると顧客の魅力を感じにくくなるため、競合施設の状況を参考にしながら、自施設の利益率と顧客満足のバランスを考慮して決定します。
会員ランクに応じて付与率を変動させることも効果的です。tripla Bookでは、ゴールド、シルバー、ブロンズなどの複数ランクを持つ会員組織を構築でき、過去の予約履歴に応じて自動的にランクが決定される仕組みが提供されています。上位ランクの会員には高い還元率を設定することで、継続利用のインセンティブを強化できます。
ポイントの有効期限も慎重に設定する必要があります。J.D. パワーの調査では、ポイントを利用しなかった理由として「利用したい特典・サービスと交換するにはポイントが足りないから」が最も多く挙げられています。有効期限が短すぎるとポイントが失効しやすく、顧客の不満につながるため、1~2年程度の期間を設定し、宿泊実績があれば期限が延長される仕組みを導入するのが現実的です。
会員ランク制度は、顧客を複数のランクに分類し、ランクに応じて異なる特典を提供する仕組みです。基本的には、年間宿泊数や累積ポイント数に基づいてランクを設定します。最初は2~3段階のシンプルな構成から始め、運用データを見ながら段階的に複雑化していくことが推奨されます。
特典内容は、金銭的価値のあるハードベネフィットと、特別感を提供するソフトベネフィットを組み合わせることが重要です。ハードベネフィットには、宿泊料金の割引、朝食無料、ルームアップグレード、レイトチェックアウトなどが含まれます。ソフトベネフィットには、優先チェックイン、ラウンジアクセス、会員限定イベントへの招待などが考えられます。
tripla Bookでは、会員特別割引機能を活用して通常のプラン価格からX%もしくはY円の値引きを設定でき、予約エンジン内で一般向け価格と併せて会員価格を表示させることが可能です。このような機能を活用することで、会員にとっての実質的なメリットを明確に示せます。また、体験型の特典として、総料理長による料理教室や施設のバックヤードツアーなど、SNSで拡散されやすい独自性のある内容を提供すると、新規顧客の獲得にもつながります。
ロイヤリティプログラムの効果を最大化するには、予約システムとCRM(顧客関係管理)システムを連携させることが不可欠です。tripla Bookは、国内主要サイトコントローラー(TLリンカーン、手間いらずなど)や、海外チャネルマネジャー(SiteMinder、Staahなど)との連携に対応しています。この連携により、複数の予約チャネルからの予約情報を一元管理し、会員情報と紐付けることができます。
CRMシステムでは、顧客の過去の宿泊履歴、利用したサービス、好みの部屋タイプ、食事の嗜好、記念日などの情報を蓄積します。この情報をもとに、パーソナライズされたメールマガジンやプロモーションを配信することで、効果的な再来訪促進が実現します。tripla Connectというマーケティングオートメーションサービスを活用すると、顧客セグメントごとに最適化されたキャンペーンを自動実行できます。
PMS連携も重要な要素です。予約システム、CRM、PMSが統合されることで、チェックイン時に会員情報が自動表示され、スタッフが顧客の好みや過去の利用履歴を確認しながら、きめ細やかな接客ができるようになります。このような情報共有により、顧客は「自分のことを覚えてくれている」という特別感を得られ、ブランドロイヤリティが強化されます。
会員向けのプロモーションは、顧客セグメントに応じて内容を変えることが効果的です。たとえば、長期間宿泊していない休眠会員には特別割引クーポンを提供し、頻繁に利用する優良会員には無料宿泊特典や限定イベントへの招待を送るといった施策が考えられます。tripla Bookでは、シークレットクーポンを設定し、メールマガジンやSNSを介してリンクを配信すると、顧客はリンクをクリックするだけでクーポンが適用された状態になります。
クロスセルの機会も会員制度を通じて拡大できます。宿泊予約時に、館内レストランの割引クーポンやスパ施設の利用券を会員特典として提供することで、宿泊以外の収益も増やせます。また、系列施設が複数ある場合は、ポイントを共通化し、別の施設でも利用できる仕組みを導入すると、グループ全体での顧客囲い込みが強化されます。
誕生日や記念日といった特別な日に合わせたプロモーションも効果的です。CRMに登録された顧客情報をもとに、自動的にお祝いメッセージと特別オファーを送信する仕組みを構築すると、顧客は感動的な体験を得られます。このような細やかな対応がリピート率向上につながります。
実際の運用では、フロントスタッフが会員情報を活用して接客の質を高めることが重要です。チェックイン時に「○○様、いつもご利用いただきありがとうございます。今回で5回目のご宿泊ですね」といった声かけをすることで、顧客は特別扱いされていると感じ、満足度が向上します。tripla Bookでは、CMS(管理画面)からフロント業務における顧客のポイント加算・減算が可能であり、これらの機能は追加費用なしで標準機能として使用できます。
成功パターンとして、会員限定の早期予約割引や、長期滞在割引を組み合わせる方法があります。これにより、閑散期の稼働率を高めながら、会員にとっての価値を提供できます。また、会員からの口コミやレビューを積極的に収集し、公式サイトやSNSで紹介することで、新規顧客の獲得にもつながります。
AIチャットボットの活用も効果的です。tripla Botは、AIが顧客からの問い合わせに自動対応し、各種SNSとの連携も管理画面から簡単に設定できます。チャットボット内から簡単にホテル会員登録ができる設計により、約50%の新規宿泊者が会員に登録する実績があります。このような仕組みを導入することで、24時間体制での顧客対応と会員獲得が同時に実現します。
ホテルのロイヤリティプログラムを導入する際には、システム選定からスタッフ教育、KPI設定に至るまで、さまざまな要素を慎重に設計することが求められます。本章では、実際の運用に役立つポイントを紹介し、プログラムの効果を最大化するための具体的な手法を解説します。
ロイヤリティプログラムを導入する際は、自社のニーズに合ったシステムを選定することが最初のステップです。システム選定時には、以下の点を確認します。
tripla Bookは、SaaS型の自社Web宿泊予約システムであり、ロイヤリティプログラム機能を標準装備しています。複数ランクの会員組織構築、ポイント管理、会員特別割引などの機能が追加費用なしで利用でき、システムは自動的に英語、簡体字中国語、繁体字中国語、韓国語への翻訳機能を備えています。統合型プラットフォームを選べば、導入後の運用負担を抑えられます。
導入のステップとしては、まず会員制度の設計(ランク分け、特典内容、ポイント付与率)を決定し、次にシステムの初期設定を行います。その後、スタッフ向けのトレーニングを実施し、テスト運用を経て本格運用を開始します。導入期間は施設規模や既存システムとの連携状況により異なりますが、通常3~6ヶ月程度を見込むと現実的です。
ロイヤリティプログラムでは顧客の個人情報を収集・管理するため、個人情報保護法への適切な対応が必須です。会員登録時には、利用目的を明示し、顧客の同意を得る必要があります。収集する情報は必要最小限にとどめ、氏名、メールアドレス、電話番号、生年月日、宿泊履歴などに限定することが一般的です。
個人情報の管理体制も重要です。データは暗号化して保管し、アクセス権限を限定することで、情報漏洩のリスクを最小化します。また、顧客から個人情報の削除依頼があった場合には、速やかに対応できる体制を整える必要があります。定期的にセキュリティ監査を実施し、システムの脆弱性をチェックすることも推奨されます。
会員規約も明確に定めることが重要です。ポイントの有効期限、特典の利用条件、会員資格の喪失条件などを規約に明記し、顧客が理解しやすい形で提示します。規約の変更が必要になった場合には、会員に対して事前に通知し、同意を得るプロセスを踏むことが望ましいです。
ロイヤリティプログラムの導入には、システム導入費用、運用費用、特典提供コストなどが発生します。システム導入費用は選択するプラットフォームにより異なりますが、SaaS型の場合は初期費用を抑えつつ、月額利用料で運用できるメリットがあります。特典提供コストは、ポイント還元率や割引率に応じて変動するため、収益への影響を慎重に試算する必要があります。
ROI(投資対効果)の評価では、OTA手数料の削減額、リピート率の向上による売上増加、顧客生涯価値の向上などを指標とします。たとえば、年商1億円の施設でOTA手数料が20%かかっている場合、自社予約比率を30%向上させることで年間600万円の手数料削減が期待できます。この削減額とプログラム運用コストを比較することで、投資の妥当性を判断します。
長期的には、顧客リピート率の向上がもたらす収益効果も考慮します。会員の年間宿泊回数が平均1.5回から2.5回に増加した場合、その増分がプログラムによる直接的な効果として評価できます。会員の生涯価値(LTV)を計算し、非会員との差額を算出することで、プログラムの経済的価値を定量化できます。
ロイヤリティプログラムの成功には、現場スタッフの理解と協力が不可欠です。フロントスタッフは会員制度の仕組みを正確に理解し、顧客に対して適切に説明できる必要があります。定期的な研修を実施し、ポイント付与の方法、特典の利用条件、会員ランクの説明方法などを徹底します。
運用フローの設計では、チェックイン時の会員確認、ポイント加算、特典提供の手順を明確にします。tripla Bookのようなシステムを利用すると、CMSからポイントの加算・減算が簡単に行え、フロント業務の負担を軽減できます。また、会員からの問い合わせに対応するためのFAQや対応マニュアルを整備し、スタッフ全員が一貫した対応をできるようにします。
スタッフ自身が会員制度の価値を理解し、積極的に顧客に勧められるようにすることも重要です。会員登録を促すインセンティブ制度を設けたり、優れた対応をしたスタッフを表彰したりすることで、現場のモチベーションを高めることができます。
ロイヤリティプログラムの効果を測定するには、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定することが必要です。主なKPIとしては、以下が挙げられます。
| KPI項目 | 測定内容 | 目標設定例 |
|---|---|---|
| 会員登録率 | 新規宿泊者のうち会員登録した割合 | 50%以上 |
| 会員リピート率 | 会員が再度宿泊した割合 | 年間30%以上 |
| 自社予約比率 | 全予約に占める公式サイト予約の割合 | 30~50% |
| 会員平均宿泊単価 | 会員の1回あたり平均宿泊料金 | 非会員より10%以上高い |
| ポイント利用率 | 付与されたポイントのうち利用された割合 | 60%以上 |
これらのKPIを定期的にモニタリングし、目標達成状況を評価します。達成が難しい指標については、原因を分析し、改善策を講じます。たとえば、会員登録率が低い場合は、登録プロセスが複雑すぎる可能性があるため、簡素化を検討します。ポイント利用率が低い場合は、ポイント交換の条件が厳しすぎる可能性があるため、交換レートの見直しを行います。
顧客満足度の測定も重要です。会員向けのアンケートを定期的に実施し、プログラムの満足度や改善要望を収集します。J.D. パワーの調査では、ポイント交換経験者の67%が継続利用を希望しており、未経験者の38%と比べて約2倍の高い意向を示しています。このような調査結果を参考にしながら、自施設のプログラムを継続的に改善していくことが、長期的な成功につながります。
ホテル・旅館におけるロイヤリティプログラムは、顧客リピート率の向上とOTA依存軽減を実現する重要な経営戦略です。会員ランク制度やポイント制度を通じて、顧客に対して魅力的な特典を提供し、ダイレクトブッキングを促進することで、手数料削減と収益性向上が同時に達成できます。
効果的なプログラムを構築するには、適切なポイント還元率の設定、差別化された特典設計、予約システムとCRMの連携、データ分析に基づくパーソナライズサービスが不可欠です。 tripla Bookやtripla Connectなどの統合型プラットフォームを活用することで、中小規模の施設でも大規模チェーンホテルと同等の顧客体験を提供できます。
導入後は、スタッフ教育、運用フローの整備、KPI設定と効果測定を継続的に行い、プログラムを改善していくことが成功のカギとなります。顧客満足度とブランドロイヤリティを高め、持続的な事業成長につなげていきましょう。
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