ホテル・旅館の開業に必要な営業許可とは?許可までの流れを解説

ホテルや旅館の開業を検討されている方にとって、営業許可の取得は避けては通れない重要な手続きです。本記事では、ホテル・旅館の開業に必要な営業許可の種類から申請手続きの流れ、注意すべきポイントまでを詳しく解説し、スムーズな開業準備をサポートします。

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ホテル・旅館の開業に必要な「旅館業営業許可」

ホテルや旅館の開業には、旅館業法に基づく旅館業営業許可が必要です。この許可は「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」を行うすべての施設に必要なもので、保健所へ申請を行います。

旅館業法による4つの営業区分

旅館業法では、施設の形態や規模に応じて4つの営業区分が設けられており、計画する施設に応じた区分で許可を取得する必要があります。

営業区分対象施設主な要件客室数・面積基準
旅館・ホテル営業温泉旅館、ビジネスホテル、観光ホテル和式または洋式構造客室面積7㎡以上
簡易宿所営業民宿、ゲストハウス、カプセルホテル多様な構造対応客室延面積33㎡以上
下宿営業住み込み施設1ヶ月以上の長期滞在生活設備要件あり

許可申請の基本的な流れ

旅館業許可申請書の提出から許可の取得まで、一般的に1〜2ヶ月程度の期間が必要です。まず管轄の保健所に事前相談を行い、施設計画の法令適合性を確認します。その後、必要書類を揃えて正式に許可申請を行い、保健所による現地調査を経て旅館業許可証が交付されます。

許可を取得できるまでの期間は自治体によって異なるため、開業スケジュールに余裕を持って計画的に準備を進めることが大切です。

ホテル・旅館の営業許可を取得するまでの具体的な手順

営業許可の取得には、事前準備から許可証の交付まで複数のステップを踏む必要があります。ここでは、各ステップの内容と手続きをスムーズに進めるためのポイントを詳しく解説します。

事前相談と書類準備

まず最初に行うべきは、管轄の保健所や自治体窓口での事前相談です。施設の設計図面や配置図を持参し、旅館業法の施設基準への適合性を確認します。自治体によっては独自の追加基準や必要書類があるため、この段階で詳細な確認を行うことが大切です。

事前相談では施設の構造や設備の配置について具体的な指導を受けることができ、後の手続きをスムーズに進めるためのポイントを確認できます。特に初めて宿泊業に参入する場合は、この段階で十分な時間をかけて相談することをおすすめします。

必要書類と申請手続き

事前相談の結果を踏まえて、申請に必要な書類を準備します。主な書類は、旅館業許可申請書、建築確認済証、検査済証、施設の図面、周辺見取り図、定款(法人の場合)、住民票、営業者の欠格事由に該当しない旨の誓約書などがあります。

書類の種類取得先注意点
旅館業許可申請書保健所自治体指定の様式使用
建築確認済証・検査済証建築時の控え紛失時は台帳記載事項証明書で代用
施設図面建築士作成客室配置・設備詳細を明記
周辺見取り図自治体または自作住居系地域の場合は特に詳細に

現地調査

申請書類の審査が完了すると、保健所による現地調査が実施されます。この調査では、申請内容と実際の施設が一致しているか、旅館業法の施設基準を満たしているかなど、詳細な確認が行われます。調査で指摘があった場合は、指摘事項に対する改善を行った後に再び調査を受けることになります。

現地調査をスムーズに通過するためには、事前相談で得られたアドバイスを確実に反映し、施設基準への適合を済ませておくことが大切です。調査当日は責任者が立ち会い、調査員の質問に適切に回答できるよう準備しておきましょう。

営業許可証の交付と標識の掲示

書類審査と現地調査の結果、基準への適合が確認されれば営業許可証が交付されます。許可証は、玄関やフロント、ロビーなど、宿泊客から見やすい場所に掲示が義務付けられています。

営業許可申請に必要な費用

旅館業営業許可の申請には、自治体が定める手数料の支払いが必要です。手数料は営業区分や自治体によって異なりますが、一般的にホテル営業で2万円〜5万円程度、簡易宿所営業で1万円〜3万円程度となっています。

申請費用は自治体によって大きく異なるため、事前相談の際に正確な金額を確認しておくことをおすすめします。また、申請後の内容の変更や再申請には追加費用が発生する場合があるため、初回の申請で確実に許可を取得できるよう準備しましょう。

旅館業法以外の関連する法令と必要な許認可

ホテル・旅館の開業では、旅館業営業許可以外にも建築基準法、消防法、都市計画法など複数の法令への適合が必要です。また、レストランやバーを併設する場合は飲食店営業許可、大浴場を設置する場合は公衆浴場営業許可といった許可も取得しなければなりません。 開業前にこれらの許認可の申請漏れがないかしっかりと確認しましょう。

建築基準法・消防法への適合

宿泊施設は不特定多数の人が利用する特殊建築物として、建築基準法上の厳格な基準が適用されます。建築確認済証や検査済証の取得が必須となり、これらがない古い建物では営業許可の取得が困難な場合があります。また、消防法に基づく消防用設備の設置や防火管理者の選任も必要です。

建築確認済証と検査済証は旅館業営業許可の申請時に必須書類となるため、建物選定の段階で必ず確認しておく必要があります。特に築年数の古い物件を活用する場合は、事前に建築士等の専門家に相談することをおすすめします。

飲食店営業許可とその他の許可

宿泊施設内でレストランやカフェを運営する場合、食品衛生法に基づく飲食店営業許可の取得が必要です。この許可には食品衛生責任者の資格が必要で、都道府県が実施する講習会の受講が義務付けられています。アルコールを提供する場合は、税務署への酒類販売業許可の申請も必要です。

温泉や大浴場を併設する場合は、公衆浴場営業許可の申請も必要となります。これらの許可はそれぞれ独自の基準と手続きが必要なため、計画段階で漏れがないか確認しましょう。

まとめ

ホテル・旅館の開業に必要な営業許可の取得には1〜2ヶ月程度の期間が必要です。書類の不備や設備基準への不適合があると開業スケジュールに遅延が生じる可能性もあります。開業スケジュールに余裕を持ち、計画的に準備を進めながら着実な許可の取得を目指しましょう。

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