オンラインからオフラインまで|ホテル・旅館の集客アイデアを紹介

観光業界はインバウンド需要の拡大により、新たな競争の時代を迎えています。従来の価格や立地競争から「体験価値」の重視へと消費者ニーズが変化し、宿泊施設には今まで以上に多角的なアプローチが求められています。そんな中、効果的な集客を実現するためには、オンラインとオフライン両方の手法を組み合わせたアプローチが大切になります。そこで、多くの宿泊施設が実践できる集客アイデアをいくつかご紹介します。

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効果的な集客を実現するための3つのステップ

効果的な集客を実現するためには、まず現状を正確に把握し、ターゲットを明確にした上で適切な手法を取ることが大切です。実践を踏み出す前に行うべき3つの手順について解説します。

自社の強みと弱みの把握

自社分析により、立地・設備・サービス内容を客観的に整理し、他施設との差別化ポイントを明確にします。立地条件や建物の特徴だけでなく、スタッフのサービスの質や地域との関係性も含めて総合的に評価することが大切です。

具体的には、アクセス環境、客室設備、付帯施設、食事内容、周辺観光資源との連携状況などを洗い出します。また、現在の予約状況や稼働率データを分析し、閑散期と繁忙期のパターンを把握して、集客施策の優先順位を決める材料とします。

顧客分析によるペルソナの設定

効果的な集客のためには、ターゲット顧客の設定が不可欠です。宿泊者データから年齢・国籍・予約経路・利用金額などを分析し、主要な顧客層の特徴を把握します。クチコミやアンケート結果からは、顧客の満足ポイントや改善要望を読み取り、より具体的なペルソナ像をイメージします。

例えば、「30代のビジネス出張者」「50代の夫婦旅行者」「20代の女性グループ」など、異なる顧客層に応じたメッセージや提供するサービスを設計します。ペルソナごとに収集する情報や予約行動が異なるため、それぞれに最適化した集客手法を考えることが大切です。

競合分析による市場ポジションの確認

競合分析では、同地域のホテルや旅館だけでなく、スーパー銭湯・ネットカフェ・民泊などの代替宿泊施設も含めて検討します。顧客の選択肢が多様化している現在では、異業種との競争も視野に入れた差別化が必要です。

競合施設の料金設定、サービス内容、マーケティング手法、クチコミ評価などを調べ、自施設の優位性を特定しましょう。

ホテル・旅館のオンラインでの集客方法5選

デジタル化が進む現在、オンライン集客は宿泊施設にとって必須の取り組みです。ここでは効果的な5つのオンライン集客手法について、具体的な実践方法を紹介します。

インターネット広告

Google広告やSNS広告は、ターゲットを絞った集客が可能です。リスティング広告では「ホテル名+地域名」「観光地名+宿泊」などのキーワードで検索上位表示を狙い、Facebook・Instagram広告では写真や動画を活用して視覚的な訴求を行います。

広告運用では費用対効果を継続的に監視し、予約につながりやすいキーワードや広告クリエイティブ(写真やコピー)に予算を集中させることが大切です。特に閑散期には広告費を抑えつつ、繁忙期前の認知拡大を狙うなど、柔軟な運用を意識しましょう。

SEO・MEO対策

自社サイトを検索エンジン内で上位表示させるSEO対策とGoogleマップ上での表示対策(MEO対策)は、長期的な集客効果が見込める手法です。特に、MEO対策は訪日外国人観光客の誘致にも直結し、「地域名+ホテル」「観光地+宿泊」などの検索で地図上に表示されることで予約機会の増加につながります。

SEO対策では、自施設の特徴や周辺の観光情報を含むコンテンツを継続的に発信し、検索エンジンからの評価を高めます。MEO対策では、Googleマイビジネスの情報を充実させ、顧客からのクチコミに対する返信を通じて信頼性を高めることが大切です。

SNS・YouTube運用

Instagram、Facebook、YouTube、TikTokなどのSNSは、宿泊施設の魅力を視覚的に伝える有効なツールです。美しい写真や動画コンテンツを通じて、実際の宿泊体験をイメージしやすい形で顧客に届けられます。

SNS運用では一貫性のあるブランドイメージを維持しながら、季節の風景や地元の食材を使った料理など、その時々の魅力を発信することが効果的です。また、インフルエンサーとの連携により、新しい顧客層へ認知拡大も期待できます。ハッシュタグの活用や投稿タイミングの最適化により、より多くのユーザーにコンテンツを見てもらえます。

OTAの活用

OTA(オンライン旅行代理店)への掲載は、多くの顧客に自施設を認知してもらう効果的な方法です。楽天トラベル、じゃらん、Booking.comなどの主要OTAでは、魅力的な写真と充実したクチコミが予約率向上のカギとなります。

OTA運用で重要なのは、各プラットフォームの特性に合わせた情報の最適化です。写真は客室だけでなく、食事や周辺環境、アメニティなど宿泊体験全体をイメージできる内容を掲載し、説明文では自施設の魅力を具体的に表現します。また、ゲストからのレビューには迅速かつ丁寧に回答することで、信頼性を高められます。

プレスリリース配信

新サービスの開始やリニューアル情報をプレスリリースとして配信することで、メディア掲載や検索エンジンでの露出機会を増やせます。プレスリリースは広告とは異なる信頼性の高い情報として認識されるため、ブランド価値の向上にも貢献します。

リリース文を作成する際は、ニュース性のある内容を簡潔にまとめ、メディアが取り上げやすい角度で情報を提供します。地域の特色を活かした取り組みや社会貢献活動なども、プレスリリースの題材として活用できます。

ホテル・旅館のオフラインでの集客方法5選

オンライン集客が主流となる中でも、オフライン集客は地域に根ざした顧客との信頼関係の構築や差別化において重要な役割を果たします。ここでは具体的な5つのオフラインでの集客手法を紹介します。

ダイレクトメール

既存顧客への直接的なアプローチとして、ダイレクトメールは高い効果を発揮します。誕生日特典や記念日プラン、季節限定サービスなどの個別性の高い内容でリピート利用を促進できます。

効果的なダイレクトメールでは、顧客の宿泊履歴や嗜好に基づいたパーソナライズされた提案を行います。例えば、前回の宿泊時に利用したサービスの改善報告や、顧客の家族構成に合わせたおすすめの新プランなどの内容を盛り込むことで開封率と反応率を高められます。

観光案内所との連携

地域の観光案内所へのチラシ設置や連携企画は、その地域を訪れる観光客に対する効果的なアプローチです。特典付きのチラシや観光案内所限定のプランを提供することで、他の宿泊施設との差別化を図りながら予約につなげていきます。

観光案内所のスタッフと良好な関係を築くことで、クチコミによる紹介も期待できます。地域の観光情報に精通したスタッフからの推薦は、顧客の信頼度も高く、質の高い見込み客の獲得につながります。

地域メディアとの関係構築

地元の情報誌や新聞、ローカルテレビ局との連携は、幅広い年齢層への認知拡大に効果的です。特に中高年層や地元住民にとって、信頼性の高い情報源として地域メディアは重要な影響力を持っています。

定期的な情報提供や取材協力を通じて良好な関係を築き、ニュース価値の高い取り組みや地域貢献活動を積極的にアピールすることで、メディアを通じた露出機会を増やします。

看板・のぼり・ポスター

物理的な宣伝媒体は、特に地域密着型の集客や通りがかりの顧客獲得に威力を発揮します。施設周辺の主要道路や駅前、観光スポット近くへの看板設置により、認知度の向上と直接的な誘客効果が期待できます。

特に、季節イベントや特別プランと連動したのぼりやポスターは、タイムリーな情報発信として予約につながりやすい施策です。 地域のお祭りやイベント時期に合わせた装飾や宣伝により、地域コミュニティとの一体感も演出できます。

地元企業・農家との連携

地域の特色を活かした体験型サービスは、他施設との明確な差別化ポイントとなります。地元の酒蔵見学ツアー、農業体験、伝統工芸体験などを宿泊プランに組み込むことで、その地域でしか味わえない価値を提供できます。

異業種とのコラボレーションは話題性もあり、中小規模の宿泊施設でも取り組みやすい手法です。また、地域貢献という観点からも、自治体や観光協会からの支援を受けやすくなるとともに、連携先の顧客層へのアプローチも実現できます。

成功事例から学ぶ集客アイデア

実際の成功事例を参考にすることで、より具体的な集客施策を検討できます。ここでは異なるアプローチで成果を上げている事例を紹介します。

体験価値重視のアプローチ

近年、宿泊業界では「睡眠」を新たな競争軸として位置付ける施設が増加しています。睡眠の質向上を目的とした専用ルームやサービスを提供することで、健康志向の高い顧客層から支持を獲得している事例があります。

このような体験価値重視のアプローチでは、従来の価格競争から脱却し、サービスの付加価値によって客単価を上げることができます。例えば、寝具や照明にこだわった「安眠ルーム」、瞑想やヨガプログラムを組み合わせた「ウェルネスプラン」などは、特定のニーズを持つ顧客から高い評価を受けやすい取り組みです。

デジタルマーケティングと地域連携の組み合わせ

オンラインとオフラインを効果的に組み合わせた成功例では、SNSでの情報発信と地元企業との連携企画を同時に展開することで、認知の拡大と特別な宿泊体験の提供を両立しています。

InstagramやTikTokで地元の食材や風景を美しく紹介しながら、実際の宿泊では地元生産者との連携による特別メニューや体験プログラムを提供することで、SNS上での話題性と実際の満足度の両方を獲得できます。このような取り組みは、クチコミやリピート利用の促進にもつながります。

インバウンド対策の具体的な取り組み

訪日外国人観光客の獲得に成功している施設では、多言語対応と文化的配慮を組み合わせたサービス提供が特徴的です。公式サイトやSNSでの多言語情報発信、キャッシュレス決済の導入、ハラル対応やベジタリアン向けメニューの用意などにより、様々な国からの顧客に対応しています。

Googleマップ上での多言語情報の登録とレビュー管理を徹底することで、外国人観光客からの検索にヒットしやすくなり、実際の予約獲得につながります。また、現地の文化体験プログラムと組み合わせることで、単なる宿泊ではなく「日本での体験」としての価値を提供し、高い満足度を実現しています。

まとめ

ホテル・旅館の集客においては、オンラインとオフラインの手法を戦略的に組み合わせることで、幅広い顧客層へのアプローチが可能です。現状分析から始まり、顧客ペルソナの設定、競合分析を経て適切な施策を選択することが成功のカギとなります。

OTAの活用やWebマーケティングなどのオンライン手法では即効性と認知拡大が期待でき、ダイレクトメールや地域との連携企画などのオフライン手法では顧客との関係構築と独自性を強化することができます。特に、クチコミやレビューの影響力が増大している現在では、サービス品質の向上と情報発信の両面での取り組みが不可欠です。

これらの集客施策は、自施設の特徴を活かした独自性のある取り組みと継続的な改善が大切です。変化する消費者ニーズに対応しながら、長期的な視点で集客力を強化していきましょう。

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