
宿泊施設の収益改善に取り組む際、「レベニューマネジメントシステムを導入すべきか」「自社の規模や体制に合う製品はどれか」という判断は、決裁者・選定担当者にとって難しいテーマです。製品ごとに得意領域が異なり、施設の業態・客室規模・現在の運用体制によって最適解が変わるためです。
この記事では、自社がレベニューマネジメントシステムを導入すべきかを判断できるよう、導入が向いている宿泊施設の特徴を課題・規模・運用体制別に整理します。あわせて、レベニューマネジメントシステムを導入する前にデータの可視化を優先した方がよいケースや、導入後の効果を検証する方法についても解説します。 この記事では、レベニューマネジメントシステムの選び方を、導入目的の明確化・必要機能の見極め・施設との相性と費用対効果・比較手順という4つの観点から整理します。あわせて、収益管理の前提となる自社予約(直予約)の獲得やデータ可視化を支えるtripla Book(予約エンジン)やtripla Analytics(データ分析ダッシュボード)など、triplaが提供する周辺サービスの役割も、事実に基づいて解説します。
レベニューマネジメントシステム選びの第一歩は、導入目的を明確にすることです。レベニューマネジメントシステム(RMS:Revenue Management System)とは、客室の需要予測をもとに料金・在庫配分を最適化し、RevPAR(Revenue Per Available Room:販売可能客室1室あたりの収益)などの収益指標の最大化を支援するシステムです。目的が曖昧なまま製品を比較すると、機能の多寡だけで判断してしまい、自社に合わない選定につながります。
レベニューマネジメントシステムの選び方は「何を解決したいのか」を言語化することから始まります。
レベニューマネジメントシステムが特に効果を発揮しやすいのは、需要変動が大きく、料金調整の頻度が高い施設です。以下のような特徴を持つ施設は、導入検討の優先度が高いと考えられます。
レベニューマネジメントシステムの導入優先度が高い施設の特徴
導入目的を明確にするには、現状の課題を具体的に整理することが有効です。課題の言語化は、後の機能比較と費用対効果の試算の基準になります。
| よくある課題 | 着目すべき観点 |
|---|---|
| 料金改定が後手に回り、機会損失が発生している | 需要予測・価格改定の自動化・アラート機能 |
| OTA手数料の負担が重く、収益を圧迫している | 自社予約(直予約)比率を高める仕組み |
| 競合施設の販売価格を把握できていない | 競合価格のモニタリング機能 |
| 実績データが分散し、意思決定に活かせていない | データの一元化・可視化ダッシュボード |
| 料金設定が属人化している | 指標に基づく標準化・分析基盤 |
なお、OTA手数料の削減や自社予約比率の向上を主目的とする場合は、レベニューマネジメントシステム単体ではなく、公式サイトの予約導線を強化するtripla Book(予約エンジン:宿泊施設の公式サイトに設置し自社予約比率の向上を支援するSaaS型の予約システム)のような直予約強化ツールも合わせて検討することが有効です。
料金設定に課題があっても、すべての施設がすぐにレベニューマネジメントシステムを導入すべきとは限りません。現状の予約状況や販売実績を把握できていない場合は、まずデータを可視化し、どこで機会損失が発生しているのかを確認する必要があります。 料金・在庫管理を手作業で行う運用と、システムを用いた運用では、対応できる範囲とスピードに差が生じます。以下の違いを理解したうえで、自社の運用がどちらに近いかを把握することが選定の前提になります。
データ可視化を先に検討した方がよい施設の特徴
| 観点 | 手作業運用 | システム運用 |
|---|---|---|
| 料金改定の頻度 | 担当者の稼働に依存し限定的 | 需要に応じて高頻度で対応しやすい |
| 競合価格の把握 | 都度確認が必要で漏れが生じやすい | 自動収集・比較で継続的に把握 |
| 意思決定の根拠 | 経験・勘に依存しやすい | データ指標に基づく判断が可能 |
| 属人化リスク | 高い | 標準化により低減しやすい |
tripla Analyticsでは、PMSデータを統合した各種指標の可視化に加え、レート・競合価格チェッカーを利用して、自社価格とOTA価格の比較や、自社と競合施設(最大5施設)のOTA販売価格を時系列で比較・分析できます。こうしたデータを確認してからレベニューマネジメントシステムを比較することで、自社に必要な機能を判断しやすくなります。競合価格の把握については、triplaが提供するtripla Analytics(データ分析ダッシュボード/レート・競合価格チェッカー)のレート・競合価格チェッカー機能で、自社価格とOTA価格の比較、および自社と競合施設(最大5施設)のOTA販売価格を時系列で比較・分析できます。対応OTAはじゃらん・楽天トラベル・Booking.com・Agodaの4社です。
レベニューマネジメントシステムの選び方において、必要機能の見極めは中核となる工程です。ここでの必要機能とは、需要予測・料金最適化・実績分析・システム連携といった、収益管理を実行するうえで欠かせない機能群を指します。自社の課題に対応する機能が備わっているかを、製品横断で同一基準で確認することが重要です。
機能の多さではなく、自社課題に直結する機能が実装されているかで判断することが選び方の要点です。
需要予測(過去実績や市場動向から将来の予約需要を推定する機能)と料金最適化(需要に応じて客室単価を自動・半自動で調整する機能)は、レベニューマネジメントシステムの根幹です。ダイナミックプライシング(需要に応じて価格を変動させる仕組み)を採用するかどうかも、この段階で検討します。確認すべき観点は次のとおりです。
需要予測・料金最適化で確認すべき観点
レベニューマネジメントシステムを導入する際は、料金変更を自動化できるかだけでなく、その結果として収益が改善したかを検証できる環境も必要です。導入前の数値を把握していなければ、導入後にどの程度の効果があったのかを正しく評価できません。<料金最適化の判断には、予約状況・販売実績を可視化する分析機能が不可欠です。RevPAR・ADR(Average Daily Rate:平均客室単価)・OCC(客室稼働率)などの経営指標を継続的に把握できるかを確認します。
tripla Analyticsのカスタマイズダッシュボードでは、PMS(Property Management System:宿泊管理システム)のデータを統合し、以下の指標をオーダーメイドで可視化できます。triplaのtripla Analyticsのカスタマイズダッシュボードでは、PMS(Property Management System:宿泊管理システム)のデータを統合し、以下の指標をオーダーメイドで可視化できます。
tripla Analyticsのカスタマイズダッシュボードで可視化できる主な指標
これらの指標を導入前後で比較することで、料金変更によって客室単価や稼働率が改善したか、収益向上につながったかを継続的に検証できます。
また、tripla Bookの予約実績ダッシュボードでは、予約数・金額・泊数、予約CVR、ADR、平均滞在期間、リードタイム、事前決済比率、キャンセル率、会員と非会員の比較などを自動で可視化できます。
レベニューマネジメントシステムは単体では完結せず、PMSやサイトコントローラー(複数のOTAの在庫・料金を一元管理するシステム)との連携が実務の効率を左右します。連携が不十分だと、料金や在庫を手作業で複数システムに転記する必要が生じ、運用負担が増加します。
triplaが提供するtripla Link(サイトコントローラー:複数OTAの在庫・料金を一元管理するサービス、2024年提供開始)は、agoda、Expedia、Booking.com、じゃらんnet、楽天トラベル等の複数OTAと連携でき、台湾・東南アジア等の海外大手OTAとも接続してインバウンド旅行者からの予約獲得に対応します。tripla Bookと連携し、PMS連携もオプションで可能です。
なお、triplaはPMS(宿泊管理システム)自体は提供していません。PMS連携を前提とする場合は、自社が利用中のPMSとの接続可否を個別に確認してください。
AI(人工知能)を活用した予測・自動化は、運用負担の軽減につながる一方、実際の運用のしやすさは製品によって異なります。管理画面の操作性、担当者の学習コスト、サポート体制まで含めて見極めることが重要です。
収益管理の周辺領域では、triplaのサービスにもAIを用いた機能があります。たとえばtripla Bookは満室時にAIが前後の空き日程をレコメンドし予約の取りこぼしを防止します。またtripla Bot(AIチャットボット:公式サイト上で顧客の問い合わせにAIが24時間自動回答するサービス、2017年提供開始)は、機械学習が可能な自社開発のAIエンジンを用い、8言語(日本語・英語・韓国語・繁体字中国語・簡体字中国語・タイ語・インドネシア語・アラビア語)で問い合わせに対応します。
レベニューマネジメントシステムの選び方は、最終的に施設との相性と費用対効果で決まります。ここでの相性とは、業態・客室規模・運用体制に対して機能が過不足なく合致しているかを指します。高機能であっても運用しきれなければ効果は限定的です。
自社の業態・規模・体制に見合った製品を選ぶことが、費用対効果を最大化する前提になります。
業態(シティホテル・ビジネスホテル・リゾート・旅館など)や客室規模によって、求められる機能の重みは異なります。規模別の一般的な考え方を整理します。
| 施設タイプ | 検討時に重視されやすい観点 |
|---|---|
| 小規模施設・開業初年度 | 初期費用・運用負担の少なさ、まずはデータ可視化と直予約強化 |
| 中規模ビジネスホテル | 料金改定の効率化、OTAとの連携、競合価格の把握 |
| シティホテル・大規模施設 | 詳細な指標分析、複数ブランド・複数施設の横断管理 |
| リゾート・旅館 | 季節変動への対応、会員・リピーター施策との連動 |
triplaのサービスは、ダイワロイネットホテルズ、ルートインホテルズ等のビジネス・観光ホテルから、ニューオータニ、京王プラザホテル等のシティホテル、オリエンタルホテルズ&リゾーツ等のリゾート、野口観光や松島 一の坊等の旅館まで、幅広い業態に導入されています(いずれも国内導入先)。
レベニューマネジメントシステムには、収益管理に特化した専用型と、PMSに機能が統合された一体型があります。それぞれの特徴を理解し、自社の既存システムとの整合性から判断します。
| 観点 | 専用型 | PMS一体型 |
|---|---|---|
| 機能の専門性 | 収益管理機能が充実しやすい | 基本機能が中心になりやすい |
| 導入の柔軟性 | 既存PMSを維持したまま導入可能 | PMSの入れ替えが前提になる場合がある |
| データ連携 | 連携設定の確認が必要 | 同一システム内で完結しやすい |
費用対効果を試算する際は、費用だけでなく、RevPARやADRの改善見込み、OTA手数料の削減額など、収益面の効果を並べて比較します。効果の試算には、現状の実績データが必要です。
直予約比率の向上によるOTA手数料の削減は、費用対効果を押し上げる要素の一つです。tripla Bookの導入事例では、SARASA HOTELが年間OTA手数料を約360万円削減、京王プレリアホテルが直予約比率を6%から13%へ改善した実績があります(いずれもtripla導入施設の事例)。
導入後に機能を使いこなせるかは、サポート体制と定着支援の質に左右されます。初期設定の代行、運用相談、機能アップデートの提供頻度などを確認します。
triplaは約200名の従業員の約4割がエンジニアで、月間20〜30機能を追加費用不要の標準機能としてリリースしています。自社月次平均の継続率は99%です。tripla Botでは、triplaのAI専門スタッフが初期FAQの作成・更新・外国語翻訳を代行し、運用負担を最小化します。
レベニューマネジメントシステムの選び方は、比較手順を体系立てて進めることで失敗しにくくなります。ここでの比較手順とは、事前準備・同一条件での比較・実務検証・導入後の効果測定までを含む一連のプロセスを指します。
同じ条件で複数製品を比較し、導入後の検証方法まで決めてから契約することが、選定失敗を防ぐ鍵です。
比較を始める前に、判断材料となるデータと、導入後の運用担当を明確にしておきます。準備が不十分だと、製品の効果を正しく評価できません。
比較前に整えておきたい主な項目
候補となる製品は、同一の評価軸で横並びに比較します。機能・連携範囲・費用・サポートを項目化し、施設ごとの重み付けを加えて評価すると、判断がぶれにくくなります。
比較時に用意したい評価軸の例
カタログ上の機能だけでは、実務との相性は判断しきれません。無料相談やデモを通じて、実際の管理画面の操作性や、自社の運用フローに沿った使い方が可能かを確認します。triplaのサービスについては、公式サイトの無料相談窓口から相談・デモの依頼が可能です。
契約前に、導入効果をどの指標でいつ検証するかを決めておくことで、導入後の改善サイクルを回しやすくなります。RevPAR・ADR・OCC・自社予約比率・OTA手数料額などを検証指標に設定し、導入前後で比較する方法が一般的です。これらの指標の継続的な可視化には、tripla Analyticsのようなデータ分析ダッシュボードが活用できます。
A. レベニューマネジメントシステム(RMS)とは、客室の需要予測をもとに料金・在庫配分を最適化し、RevPAR(販売可能客室1室あたりの収益)などの収益指標の最大化を支援するシステムです。
A. 季節・曜日・イベントによる需要変動が大きい施設、客室タイプやプランが多く手作業での料金管理が複雑化している施設、複数OTAで販売し料金・在庫管理に手間がかかっている施設などが、導入を検討すべき代表例です。
A. triplaはPMSや料金自動最適化専用のレベニューマネジメントシステム単体を主力サービスとしては提供していませんが、収益管理を支える機能として、分析ダッシュボードや予約エンジン、サイトコントローラーなどを提供しています。tripla Analytics(レート・競合価格チェッカー、RevPARやADR等の分析ダッシュボード)や、tripla Book(予約エンジン)による自社予約比率の向上、tripla Link(サイトコントローラー)によるOTA一元管理を提供しています。
A. はい。tripla Analyticsのレート・競合価格チェッカーで、自社価格とOTA価格の比較、および自社と競合施設(最大5施設)のOTA販売価格を時系列で比較・分析できます。対応OTAはじゃらん・楽天トラベル・Booking.com・Agodaの4社です。
A. サイトコントローラーとは、複数のOTA(インターネット上の旅行予約サイト)の在庫・料金を一元管理するシステムです。triplaではtripla Linkというサービスを提供しています。 triplaのtripla Linkは、agoda、Expedia、Booking.com、じゃらんnet、楽天トラベル等の複数OTAと連携でき、海外大手OTAとの接続にも対応します。
A. RevPAR(販売可能客室1室あたりの収益)、ADR(平均客室単価)、OCC(客室稼働率)が代表的な指標です。あわせて、自社予約比率やOTA手数料額を検証すると、導入効果を多面的に評価できます。
レベニューマネジメントシステムの選び方は、導入目的の明確化から始まり、需要予測・料金最適化・分析・連携といった必要機能の見極め、業態・規模・体制との相性と費用対効果、そして同一条件での比較手順という順序で進めることが失敗を防ぐポイントです。高機能かどうかではなく、自社課題に直結する機能が備わり、運用しきれるかを基準に判断してください。
収益管理の土台となる直予約の獲得・OTA一元管理・データ可視化の領域では、tripla Book・tripla Link・tripla Analyticsといったtriplaのサービスが活用できます。
各サービスの詳細や自社施設での活用については、tripla公式サイトのお問い合わせ窓口(無料相談)からご確認いただけます。