ホテル・旅館でオールインクルーシブを導入するコツ|費用を抑えて集客力を高める方法

「オールインクルーシブを導入したいけれど、費用がかかりそうで不安」「小規模な旅館でも取り入れられるのだろうか」とお悩みではありませんか。近年、宿泊料金に食事や飲み物、アクティビティをすべて含めるオールインクルーシブ形式が注目を集めています。

本記事では、費用を抑えながら集客力を高める導入のコツを、実際の成功事例とともにお伝えします。小規模旅館でも実践できる具体的な方法をご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

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ホテルでのオールインクルーシブとは

まずはオールインクルーシブの基本的な仕組みや、海外・国内での導入事例を確認していきましょう。

オールインクルーシブの定義

オールインクルーシブとは、宿泊料金の中に食事、飲み物、アクティビティなどをすべて含めた料金体系のことです。お客様は滞在中に追加の支払いを気にすることなく、さまざまなサービスを楽しめます。もともとはカリブ海などのリゾート地で広まった仕組みですが、日本でも独自のおもてなしと組み合わせた形で導入が進んでいます。

従来の宿泊施設では、食事代やドリンク代が別途かかることが一般的でした。しかしオールインクルーシブでは、料金が明確なため、お客様が安心して滞在を楽しめるという特徴があります。経営者にとっても、一人あたりの客単価が見通しやすくなるメリットがあります。

オールインクルーシブで含まれる基本サービス内容

一般的なオールインクルーシブでは、以下のようなサービスが含まれます。

  • 朝食・夕食のビュッフェレストランでの食事
  • ソフトドリンク、アルコール飲料の飲み放題
  • 館内アクティビティ(プール、スパ、キッズ向け遊び場など)
  • ウェルカムドリンクやスナックの提供

日本の旅館やホテルでは、温泉の入浴や浴衣の貸し出しなども含めるケースが多いです。施設の特色に合わせて、サービスを柔軟に設計できる点が魅力といえます。

海外で広く採用されているオールインクルーシブの形態

海外のリゾートホテルでは、オールインクルーシブが長年にわたり採用されてきました。特にメキシコやカリブ海のリゾート地では、敷地内のすべてのレストラン、バー、アクティビティが料金に含まれることが一般的です。お客様は財布を持ち歩く必要がなく、リラックスした時間を過ごせます。

こうした海外の事例から学べるのは、「滞在そのものを楽しむ」という価値提供の考え方です。日本でも、この考え方を取り入れながら、地域の食材や文化を活かした独自のオールインクルーシブが生まれています。

日本のホテルにおけるオールインクルーシブ導入事例

日本国内でも、オールインクルーシブを取り入れた施設が増えています。triplaを導入している宮城・松島の温泉リゾート「松島一の坊」では、チェックアウトまでお財布いらずのオールインクルーシブを全面的に導入。夕・朝食のオーダービュッフェ、ラウンジでのドリンク・スイーツ・生ビールの提供、岩盤浴やアクティビティまですべて宿泊料金に含まれています。三陸の海の幸をはじめ地域食材を活かした料理と温泉が一体となったコンセプトが評判を呼び、リピーターからの高い評価を得ています。

また、同じくtriplaを導入するアコーグループが展開するグランドメルキュール・メルキュール系列では、2024年4月に全国22カ所のホテルが一斉にオールインクルーシブスタイルで開業しました。夕食・朝食・ラウンジドリンク・温泉・アクティビティを宿泊料金に包括した形式を採用し、各ホテルがその土地の食材・文化・伝統を活かした独自コンテンツを提供しています。

オールインクルーシブ導入を検討すべきホテルの条件

オールインクルーシブの導入が向いている施設には、いくつかの共通点があります。

  • 館内で複数のサービス(食事、ラウンジ、温泉など)を提供できる
  • 連泊や長期滞在のお客様を増やしたい
  • ファミリー層やカップルなど、特定のターゲットに強みがある
  • 地域の食材や観光資源を活かしたい

すべての施設に向いているわけではありませんが、上記のような条件がそろっている場合は、導入を検討する価値があります。

ホテルがオールインクルーシブを導入するメリット

オールインクルーシブを導入することで、収益面・顧客満足度・集客力の向上など、さまざまなメリットが期待できます。

収益性の向上

オールインクルーシブでは、一人あたりの宿泊単価をあらかじめ設定できます。そのため、客単価向上を図りやすくなります。食事やドリンクが別料金の場合、お客様が注文を控えることもあります。しかし、すべて込みの料金であれば、館内での消費体験自体が価値となり、顧客満足度が上がると同時に、その分をあらかじめ宿泊単価に上乗せして回収できるため、結果として収益増につながります。

また、収益の見通しが立てやすくなるため、仕入れや人員配置の計画も立てやすくなります。変動費率を安定させることで、経営の安定化にもつながります。

客室稼働率の安定化効果

オールインクルーシブは、長期滞在を促進する効果があります。お客様は滞在中に追加費用を気にする必要がないため、「もう一泊しよう」という気持ちになりやすいのです。連泊が増えると、清掃やリネン交換の回数が減り、運営効率化にもつながります。

また、平日の稼働率が低い施設でも、オールインクルーシブプランをお得に設定することで、集客力を高められる可能性があります。

顧客満足度の向上

お客様にとって、滞在中に「あといくらかかるのか」を考えなくてよいのは大きな安心感です。特に子連れプランを利用するファミリー層では、お子様がジュースやアイスを何度おかわりしても追加料金がかからないため、親御さんのストレスが軽減されます。

このような安心感は、口コミやリピート率の向上につながります。SNSでの発信も、「すべて込みで快適だった」というポジティブな内容が増える傾向があります。

ブランド価値とリピート率の向上

オールインクルーシブを導入することで、施設のブランドイメージを明確にできます。「ここに泊まれば、すべてが揃っている」という認知が広がると、リピーターの獲得につながります。

リピーター特典として、再訪時の割引やアップグレードを用意することで、さらなる固定客の確保が期待できます。一度気に入ってもらえれば、家族や友人への紹介も増えやすくなります。

集客力と販売力の向上

オールインクルーシブは、SNSマーケティングとの相性がよいです。「すべて込みの贅沢な滞在」という分かりやすいコンセプトは、SNSでシェアされやすい特徴があります。お客様が撮影した食事やアクティビティの写真が、自然と宣伝になります。

また、旅行予約サイトでも「オールインクルーシブ」で検索するお客様が一定数いるため、プランの差別化がしやすくなります。インバウンド対応としても、料金が明確な点は外国人観光客に好まれます。

ホテルでのオールインクルーシブの課題と対策

オールインクルーシブの導入を成功させるためには、初期投資や運営負荷、価格設定などの課題を事前に把握し、適切な対策を講じることが大切です。

初期投資と導入コストの課題

オールインクルーシブを始めるにあたり、設備の改修や備品の追加が必要になることがあります。たとえば、ラウンジスペースの新設や、ビュッフェレストランの機器導入などが考えられます。なお、既存のロビーの一角にドリンクサーバーを設置するだけの簡易的な改修で済ませるケースもあります。

費用を抑えるコツとしては、既存の設備を活かした段階的な導入がおすすめです。最初からすべてを揃えるのではなく、まずはドリンクサービスから始め、お客様の反応を見ながら拡大していく方法が現実的です。

導入段階内容例費用目安
第1段階ウェルカムドリンク、ハッピーアワー導入比較的低コスト
第2段階ラウンジでのソフトドリンク・軽食提供中程度
第3段階アクティビティ・食事のフルサービス化設備投資が必要

人員配置と運営負荷に関する課題

サービス内容が増えると、スタッフの業務も増加します。しかし、デジタルツールを活用することで、この負担を軽減できます。たとえばtripla Book(自社予約エンジン)やtripla Bot(AIチャットボット)を導入することで、予約対応や顧客からの問い合わせ業務を自動化し、スタッフが本来のおもてなしに集中できる環境を整えることができます。

スタッフ教育も大切です。オールインクルーシブでは、お客様への声かけや説明が重要になります。「どこで何が楽しめるか」を分かりやすく伝えられるよう、マニュアルを整備しておきましょう。

食材調達と飲食管理の課題

飲み放題・食べ放題を提供する場合、在庫管理システムの導入が欠かせません。食材のロスを防ぐためには、過去のデータを分析し、適切な仕入れ量を把握することが大切です。

地域連携として、地元の農家や酒蔵と提携することで、仕入れコストを抑えつつ、地域色豊かなメニューを提供できます。「地元食材を使ったオールインクルーシブ」は、お客様へのアピールポイントにもなります。

価格設定と収益管理の課題

オールインクルーシブの価格設定は、慎重に行う必要があります。安すぎると赤字になり、高すぎると予約が入りません。適正価格を見つけるためには、原価率と利用率のバランスを見極めることが大切です。

まずは試験的に期間限定プランとして販売し、お客様の反応や実際の原価を確認してから、正式なプランとして展開する方法がリスクを抑えられます。

安全管理と法令遵守のポイント

アルコールを提供する場合は、未成年者への提供防止など、法令を遵守する必要があります。また、屋内遊具やプールなどのアクティビティを提供する場合は、安全管理体制を整えておくことが重要です。

お客様が安心して楽しめる環境を整えることで、トラブルを未然に防ぎ、施設の信頼性を高められます。

オールインクルーシブ導入の具体的なステップと運用方法

ここからは、オールインクルーシブを実際に導入・運用するための具体的な手順とポイントを解説します。

導入前の市場調査とターゲット設定の進め方

導入を検討する際は、まず自施設のお客様層を分析しましょう。ファミリー層が多いのか、カップルが中心なのか、シニア層が多いのかによって、提供すべきサービスが変わってきます。

顧客セグメント別のプラン設計が有効です。

  • ファミリー向け:キッズアクティビティ、屋内遊具、お子様メニュー
  • カップル向け:ロマンティックな夕食演出、スパ利用
  • シニア向け:健康メニュー、ゆったりとした滞在時間

料金体系とパッケージ商品の設計方法

料金設計では、原価を正確に把握することが出発点です。食事、飲料、アクティビティそれぞれのコストを洗い出し、適正な利益率を確保できる価格を設定します。

また、複数のプランを用意することで、お客様の選択肢を広げられます。「ライトプラン」「スタンダードプラン」「プレミアムプラン」など、段階的なパッケージを設計すると、幅広いニーズに対応できます。

現場オペレーション設計とスタッフ研修のポイント

オールインクルーシブを円滑に運営するには、動線最適化が欠かせません。お客様がストレスなくサービスを受けられるよう、館内の案内表示を分かりやすくしましょう。

スタッフ研修では、以下の点を重点的に伝えることが大切です。

  1. オールインクルーシブの概念と自施設のサービス内容
  2. お客様への説明方法と声かけのタイミング
  3. トラブル発生時の対応手順
  4. 在庫管理と補充のルール

収益管理指標と効果測定の方法

導入後は、定期的に効果を測定することが大切です。以下のような指標をチェックしましょう。

指標確認ポイント
客室稼働率導入前と比較して改善しているか
客単価一人あたりの売上が向上しているか
原価率想定内に収まっているか
顧客満足度口コミ評価やアンケート結果
リピート率再訪のお客様が増えているか

導入後のプロモーションと販売チャネル運用

オールインクルーシブプランの魅力を伝えるには、SNSでの情報発信が効果的です。お客様が撮影した写真をシェアしてもらえるよう、フォトスポットを設置したり、ハッシュタグを用意したりする工夫が有効です。

スタンプラリーのような仕組みを導入し、館内のさまざまなサービスを体験してもらうことで、滞在の満足度を高められます。デジタルスタンプラリーアプリを活用すれば、運営の手間も軽減できます。

また、自社サイトでの直接予約を促進することで、予約手数料を抑えられます。オールインクルーシブの魅力を伝える専用ページを作成し、写真や動画で滞在のイメージを伝えましょう。

まとめ

オールインクルーシブは、お客様に安心感を提供しながら、施設の収益性と稼働率を高められる仕組みです。導入にあたっては、自施設のお客様層に合わせたプラン設計と、段階的な導入が成功のカギとなります。

本記事でご紹介した事例のように、地域の特色を活かしたサービスや、デジタルツールを活用した運営効率化を組み合わせることで、費用を抑えながら集客力を高めることが可能です。まずは小さな取り組みから始め、お客様の反応を見ながら拡大していくことをおすすめします。

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