
「シフトを組むたびに時間がかかる」「急な欠員で対応に追われる」「スタッフの希望をうまく反映できない」など、ホテルや旅館を経営されている方なら、こうしたシフト管理の悩みを一度は感じたことがあるのではないでしょうか。宿泊業は24時間体制で動くため、シフト管理の難しさは他業種とは比べものになりません。
本記事では、小規模旅館でも実践できるシフト管理の効率化方法をご紹介します。スタッフ配置のポイントから法令上の注意点、ツール活用まで、具体的にお伝えしていきます。
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宿泊業のシフト管理を考えるうえで、まず押さえておきたいのが業界特有の特性です。フロント、清掃、レストラン、調理など多くの職種が混在し、お客様への対応を途切れさせることはできません。この24時間体制と繁閑差の大きさが、シフト管理を複雑にしている原因です。
ホテルや旅館は、深夜でも早朝でもお客様をお迎えする準備が必要です。チェックインが遅れるお客様、早朝に出発されるお客様、夜間の問い合わせなど、対応すべき場面は時間を選びません。そのため、常に一定の人員を配置しておく必要があります。
また、繁忙期と閑散期の差が非常に大きいことも特徴です。ゴールデンウィークやお盆、年末年始などの観光シーズンには業務量が集中します。一方、ビジネスホテルでは平日が繁忙期になることもあり、施設ごとに繁閑のパターンが異なります。この差を見極めて人員を配置することが、シフト管理の出発点となります。
宿泊業では、正社員だけでなくパート、アルバイト、派遣社員など多様な雇用形態のスタッフが働いています。それぞれの雇用形態によって、シフトに対するニーズや条件が異なることを理解しておきましょう。
| 雇用形態 | 主なシフトニーズ | 配慮すべき点 |
|---|---|---|
| 正社員 | 安定したシフト、キャリア形成 | 責任ある業務の割り当て |
| パート | 決まった曜日・時間帯 | 家庭との両立 |
| アルバイト | 柔軟なシフト、短時間勤務 | 学業やWワークとの兼ね合い |
| 派遣社員 | 契約範囲内の業務 | 契約期間とスキルの確認 |
こうした違いを把握しておくことで、スタッフ一人ひとりに合ったシフトを組みやすくなります。無理のないシフトは、スタッフの定着率向上にもつながります。
小規模旅館では、地元の学生や主婦の方、フリーターの方に働いていただくケースが多いかと思います。それぞれのライフスタイルに合わせたシフト設計が大切です。
希望を丁寧にヒアリングし、可能な範囲で反映することで、スタッフのモチベーション維持につながります。特に小規模施設では、一人ひとりとの信頼関係が運営の土台となります。
シフトの組み方にはいくつかのパターンがあります。自施設に合ったパターンを選ぶとともに、労働基準法などの法令を守ることが欠かせません。ここでは代表的なシフトパターンと、守るべきルールについて解説します。
宿泊業で採用されることが多いシフトパターンは、大きく3つに分けられます。
| パターン | 時間帯の例 | 向いている施設 |
|---|---|---|
| 2交代制 | 日勤8:00〜17:00、夜勤22:00〜翌8:00 | 小〜中規模のホテル・旅館 |
| 3交代制 | 早番9:00〜18:00、遅番18:00〜24:00、夜勤24:00〜翌9:00 | 大規模ホテル、リゾート施設 |
| 中抜けシフト | 朝7:00〜10:00+夕16:00〜21:00 | 朝夕に業務が集中する旅館 |
2交代制は多くの施設で採用されており、管理がしやすいのが特徴です。3交代制は人員に余裕がある施設向けで、一人あたりの負担を軽減できます。中抜けシフトは朝食・夕食時に人手が必要な旅館で効率的ですが、拘束時間が長く感じられるため、スタッフへの配慮が必要です。
シフトを組む際に見落としがちなのが、勤務間インターバルの確保です。前のシフトが終わってから次のシフトが始まるまでの時間を十分に取ることで、スタッフの健康を守れます。
一般的には11時間以上のインターバルを確保することが推奨されています。たとえば、夜22時に勤務が終わった場合、翌日は9時以降の出勤とするイメージです。無理なシフトは体調不良や離職の原因となりますので、余裕を持った設計を心がけましょう。
また、中抜けシフトの場合は、実際の労働時間と拘束時間の差が大きくなります。スタッフがストレスを感じないよう、中抜け時間の過ごし方についても配慮が必要です。
シフト管理では、法令を守ることが大前提です。アルバイトやパートの方も労働基準法の対象となりますので、以下の点を確認しておきましょう。
深夜勤務(22時〜翌5時)には25%以上の割増賃金が発生します。休日についても、週1日または4週4日以上の確保が義務づけられています。繁忙期は休みが取りづらくなりがちですが、法令を守りながらスタッフの負担を分散させる工夫が求められます。
シフトの公開タイミングについても、事前にルールを決めておくとよいでしょう。「2週間前までに確定する」などの基準を就業規則に明記しておくと、スタッフも予定を立てやすくなります。
シフト管理の効率化には、勘や経験だけでなくデータを活用することが効果的です。稼働率や予約状況をもとに人員を予測し、ツールを活用することで作業時間を大幅に短縮できます。ここでは具体的な方法をご紹介します。
シフトを組む際、「どのくらいの人数が必要か」を正確に把握することが大切です。そのために活用したいのが、PMS(ホテル管理システム)などに蓄積された稼働率や予約データです。
たとえば、過去の同時期の稼働率を確認し、どの時間帯にどれだけの業務が発生したかを振り返ります。朝食時間帯のレストランスタッフ、チェックアウト時間のフロント人員など、時間帯ごとに必要な人数を割り出せます。
予約データを活用すれば、数日先の繁閑も予測できます。予約が少ない日は最小限の人員に、予約が集中する日は応援を手配するなど、柔軟な対応が可能になります。データに基づく判断は、人件費の最適化にも直結します。
どれだけ丁寧にシフトを組んでも、急な欠員は発生します。体調不良や家庭の事情など、避けられない事態に備えておくことが大切です。
まず、欠員が出たときの応援フローを事前に決めておきましょう。「まず誰に連絡するか」「代わりに入れるスタッフのリスト」「連絡がつかない場合の対応」など、手順を明確にしておくと慌てずに済みます。
また、複数の業務を担当できるクロス配置の体制を整えておくと、欠員時の影響を最小限に抑えられます。フロント業務ができるスタッフが清掃も手伝える、といった柔軟な対応が可能になります。
クロス配置を実現するためには、スタッフのスキル育成が欠かせません。tripla公式サイトでも、宿泊業界の人手不足対策として「既存従業員のマルチスキル化と柔軟なシフト管理」を推奨しています。
一人のスタッフが複数の業務(たとえばフロント業務と予約管理)を担当できるようになると、人員配置の柔軟性が大きく向上します。研修やOJTを通じて、少しずつスキルの幅を広げていく取り組みが効果的です。
ただし、業務分担のルールは明確にしておく必要があります。「この業務は誰が担当できるか」「応援に入る場合の範囲」などをリスト化しておくと、現場での混乱を防げます。
シフト作成にかかる時間を短縮したい場合、シフト管理ツールの導入が有効です。紙やExcelでの管理から、クラウド型ツールに移行する施設が増えています。
ツールを選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
導入効果として、シフト作成時間が従来の半分に短縮されたという事例があります。また、従業員100名規模のホテルでは、シフト作成期間が2週間から2〜3日に短縮され、確定タイミングも2週間前倒しになったとの報告があります。
作成時間の短縮は、担当者の負担軽減だけでなく、スタッフへの早期シフト共有につながります。予定が立てやすくなることで、従業員満足度の向上も期待できます。
近年はAI自動シフト作成機能を備えたツールも登場しています。勤務間インターバルや夜勤回数、休日取得などを自動で計算し、法令遵守と健康配慮を組み込んだシフトを提案してくれます。属人化の解消やDX推進の観点からも、ツール導入を検討する価値があります。
ホテルや旅館のシフト管理は、24時間体制と繁閑差、多様な雇用形態が重なり合う複雑な業務です。しかし、基本となるシフトパターンを理解し、法令を守りながらデータやツールを活用することで、効率化は十分に可能です。
本記事でご紹介したポイントを整理すると、以下のようになります。
スタッフが働きやすい環境を整えることは、サービス品質の向上やお客様満足度にもつながります。まずは自施設の課題を洗い出し、できることから取り組んでみてはいかがでしょうか。
また、予約管理やお客様対応など宿泊業務全般の効率化をお考えの場合は、triplaの専任スタッフへお気軽にご相談ください。