ホテルや旅館の経営において、新規顧客の獲得とリピーター獲得は重要な課題です。OTAに依存した集客から脱却し、独自で顧客との関係性を築く手法として、メルマガ配信が注目されています。メルマガは単なる宣伝ツールではなく、顧客との継続的なコミュニケーションを通じてファン化を促進し、宿泊予約へとつなげるマーケティング手法です。本記事では、ホテル・旅館でのメルマガ戦略について、効果的な配信方法から具体的な集客施策まで詳しく解説します。
triplaでは、宿泊業務の効率化と顧客体験向上のためのデジタルツールを横断的に提供しています。自社予約比率の向上やメルマガをはじめとした各種マーケティングツールの統合などのお悩みは専任のスタッフに気軽にご相談(無料)ください。
宿泊業界においてメルマガ活用は、他の集客手法と比較して多くのメリットがあります。デジタルマーケティングが主流となる中で、メールを通じた直接的なコミュニケーションは、宿泊施設にとって欠かせない集客戦略の一つです。
メルマガによる集客は、他の広告媒体と比較して高い確率で予約につなげられるといった特徴があります。最新の宿泊情報や季節限定プラン、周辺観光案内メールなどを定期的に配信することで、読者の関心を喚起し、予約や問い合わせにつなげることが可能です。
特に既存顧客に対するメール配信では、過去の宿泊履歴や顧客データに基づいたオリジナルのプロモーションが実現できます。顧客の好みや過去の利用パターンを把握した上でのアプローチは、新規顧客の獲得よりも効率的です。
メルマガ配信は、一方通行の情報発信ではなく、顧客からの返信や問い合わせを促すきっかけとなります。定期的な情報発信を通じて読者との信頼関係を構築し、施設へのファン化につなげる貴重な手段となります。一般に、新規顧客の獲得コストは既存顧客維持の約5倍に上るとされ、宿泊業界でも同様の傾向にあるとされており、メルマガ配信は経営の効率化の観点でも重要です。
また、会員限定特典や早期予約特典などを配信することで、読者に「選ばれた顧客」という特別感を与えることができ、顧客との特別な関係性を築くことができます。
従来の紙媒体によるダイレクトメールと比較して、メルマガは制作から配信まで大幅なコスト削減を実現できます。メルマガツールの多くは月額数千円から利用可能で、紙媒体に必要な印刷や郵送のコストを大きく削減することができます。
さらに、配信後の効果測定もすぐに行えるため、開封率やリンクのクリック率を分析して、キャッチコピーや特典内容の改善などが迅速に行えます。
ホテル・旅館でのメルマガ成功には、適切な配信形式と読者にとって魅力あるコンテンツ設計が不可欠です。単なる宣伝メールではなく、読者が継続的に読みたくなる価値ある情報を届けることが大切です。
宿泊業界においては、テキストメールよりもHTMLメールでの配信が推奨されます。画像やレイアウトを効果的に使用することで、テキストだけでは伝わりにくい客室の雰囲気や施設の魅力、周辺観光地の美しさを直感的に伝えることができます。視覚的な訴求は読者の注意を引き、宿泊への関心を搔き立てる効果があります。
HTMLメールを活用する際には、スマートフォンでの縦型画面に対応したデザイン(レスポンシブデザイン)の採用が大切です。現在、メール開封の多くがスマートフォンで開封されており、モバイル対応は必須要件となっています。
参考効果的なメルマガ運用には、顧客の属性や利用履歴に合わせた配信が有効です。顧客の宿泊履歴、居住地、利用目的(ビジネス・観光・記念日など)に応じた内容の配信を行うことで、開封率と予約率の大幅な改善が期待できます。
例えば、家族連れの利用者にはファミリープランの案内を、平日利用の多い顧客にはビジネスプランの案内といった使い分けがあげられます。このようなセグメント配信は、読者には「自分に向けられた特別な情報」として受け取ってもらえるため、メールマーケティングの効果を最大限発揮できます。
メルマガの配信タイミングは、読者の生活パターンと宿泊業界の特性を踏まえて決定する必要があります。一般的に、宿泊予約の検討は週末に行われることが多いため、木曜日から土曜日の配信が効果的とされています。また、配信時間は、スマホを確認しやすい時間帯として平日であれば19-21時、休日は10-12時に開封率が高くなる傾向にあります。
配信頻度については、月2-4回程度が適切とされており、過度な配信は読者の離脱につながるため注意が必要です。季節限定プランやキャンペーン情報のタイミングに合わせた臨時配信も効果的です。
メルマガで成果を上げるためには、読者が真に求めている情報を継続的に提供することが大切です。宿泊施設ならではの特性を活かしたコンテンツにより、読者の関心を維持させることを心掛けましょう。
季節性を活かしたコンテンツは、宿泊業界の特有のものでありメルマガの重要な要素です。春の桜プラン、夏の避暑プラン、秋の紅葉狩りプラン、冬の温泉プランなど、季節限定プランの先行案内を会員限定で配信することで、特別感を演出できます。
地域のお祭りやイベント情報と連動した宿泊プランの提案は、観光需要の取り込みにも効果的です。宿泊だけでなく周辺観光の魅力も合わせて紹介することで、旅行への高揚感を刺激することができます。また、閑散期対策として早期予約特典と組み合わせた配信も有効です。
メルマガ読者だけが受けられる特別な特典の提供は、リピーター獲得と新規顧客の囲い込みに有効です。宿泊料金の割引だけでなく、無料のルームアップグレード、レイトチェックアウト、ウェルカムドリンクなどの付加価値の提供もポイントとなります。
早期予約特典については、宿泊予定日の30-60日前までの予約に対する割引や特典を提供することで、稼働率の安定化を図ることができます。配信の際には、限定感を強調したコピーを使うことで、読者の行動を促すような仕掛けも大切です。
過去の宿泊データを活用した個別のメルマガ配信は、リピーター獲得の手法として実践すべきものです。前回の宿泊から一定期間が経過した顧客に対する特典付きの再訪案内メールや、過去に利用したプランの類似商品の提案、宿泊時期に先行したイベント案内などが効果的です。
記念日利用の顧客には類似したイベント企画の案内や、ビジネス利用の顧客には出張支援サービスの案内など、個々の嗜好や利用履歴に基づいた、最適なタイミングでの最適な情報を配信することで、リピーターの獲得につなげられます。
メルマガの効果を最大化するためには、まず開封してもらい、予約行動につなげるための工夫が必要です。件名から本文の構成、CTA(Call to Action)の設計までをこだわることで大きな成果につながります。
メールの件名は開封率を決める重要な要素です。宿泊業界では、「有益性」「緊急性」「具体性」の3要素が効果的とされています。例えば「【会員限定】春の桜プラン20%OFF|4/30まで」のように、対象者・特典内容・期限を明確に示すことで開封率の向上が期待できます。
件名の文字数は全角25文字以内に収め、スマートフォンでの表示領域を意識することが重要です。また、プリヘッダー(件名下に表示される補足テキスト)を活用して、件名では伝えきれない魅力的な情報を追加することで、開封への意識を高めることができます。
メール本文内のCTAは、予約につながるか否かの重要なポイントです。「予約はこちら」という一般的な表現ではなく、「春の特別プランを見る」「限定特典付きで予約」など、具体的なベネフィットを含んだCTAテキストが効果的です。
CTAボタンの配置については、メール本文の上部、中部、下部の3箇所に設置し、読者がどの段階で興味を持っても行動に移せるよう設計にすることが大切です。また、ボタンの色やサイズも重要で、背景色とのコントラストを高くし、タップしやすいサイズ(44px以上)を確保する必要があります。
顧客の宿泊履歴、居住地、年齢層、利用目的などでグループ分けを行い、各セグメントに最適化されたコンテンツを配信すること自体が、開封率と予約率の向上につながります。各セグメントに対する配信内容の例は次のとおりです。
セグメント | 配信内容例 | 期待効果 |
---|---|---|
ファミリー層 | 子供向けアクティビティ、ファミリープラン | 家族旅行需要の獲得 |
ビジネス利用者 | 出張支援サービス、平日特別料金 | 平日稼働率の向上 |
記念日利用者 | アニバーサリープラン、特別演出サービス | 高単価予約の獲得 |
メルマガだけでなく、SNSなどの他のマーケティング手法と組み合わせることで、より大きな成果を得ることができます。各アプローチにより、顧客との接点を多く持つことを意識しましょう。
メールとSNSの連携は、既存顧客と新規顧客の両者へアプローチできる効果的な戦略です。メルマガで配信したコンテンツをSNSでも展開することで、施設やプランの認知を拡大することができます。また、SNS投稿にメルマガ登録への案内を組み込むことで、新たなメルマガ読者の獲得にも貢献します。
特に、映える客室や料理の写真などは、Instagram投稿にも活用するできるため、メルマガとInstagramは相性の良い手法になります。
宿泊いただいた後の顧客へのフォローアップメールでは、クチコミ投稿へのお願いを組み入れると効果的です。GoogleマイビジネスやTripAdvisor、じゃらん等でのクチコミレビューは、新規顧客が予約を検討する際の大きな判断基準となるからです。実際のクチコミ内容をメルマガ内に例示として示すことも、クチコミがしやすくなる点で有効です。
ただし、これらのクチコミ戦略は、高評価のクチコミがもらえるサービスを提供していることが前提となるので注意しましょう。
効果的なメルマガ運用には、しっかりとした運営体制と定期的な効果測定が不可欠です。単発の配信ではなく、継続してPDCAサイクルを回しながら改善を重ねることで成果に結びつきます。
メルマガ運用の成功には、コンテンツの企画、制作、配信、効果測定までの一連のワークフローを明確にする必要があります。小規模施設では1-2名での運用が一般的ですが、複数の施設を展開している場合は、本部と各施設との役割分担が大切です。
本部では共通コンテンツやブランドメッセージの配信を担当し、各施設では地域性や施設固有の情報配信を行うことにより、統一感と独自性を両立できます。また、多言語対応が必要な場合は、言語別のメール配信体制も検討する必要があります。
メルマガの効果測定では、開封率、クリック率、成約率(予約率)、解約率の4つの指標に加え、メール経由での売上高、顧客生涯価値(LTV)も重要な評価指標となります。宿泊業界では、開封率20%以上、クリック率1.5%以上が目安とされています。
参照効果測定は月次で実施することが一般的です。また、定期的にA/Bテストを行い、件名、配信時間、コンテンツ構成などを最適化することで成果の最大化につなげます。
顧客の個人情報を扱うメルマガ運用では、個人情報保護法の遵守と適切なセキュリティ対策が必須です。メール配信システムの選定時は、SSL暗号化通信、アクセスログ管理、データバックアップ機能などのセキュリティ機能を確認する必要があります。
また、配信停止(オプトアウト)の仕組みを明確にし、読者が簡単に配信停止ができる環境の整備も必要です。GDPR等の国際的なプライバシー規制への対応も、海外顧客を対象とする場合は必要となります。
ホテル・旅館のメルマガ配信は、単なる宣伝ツールではなく、顧客との関係性の維持とリピーター獲得を実現する重要なマーケティング手法です。視覚的な訴求力が高いHTMLメールの活用、顧客の属性に応じたセグメント配信などを駆使することで、リピーターの獲得が期待できます。
また、件名やCTAの工夫、セグメント配信でのコンテンツの最適化、SNSとの連携などなど、あらゆる面で工夫と改善を繰り返すことで、成果の最大化が可能となります。
OTA依存から自社予約へシフトしていくためにもメルマガ運用は有効であるため、競争力の強化のためにも積極的に活用しましょう。
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